四季とくらす
炉と風炉
夏は涼しく冬は温かに
「茶の湯の上で、心得ておきべきもっとも大切なことは何ですか!?」と弟子に問われた千利休は、次のように答えたそうです。
茶は服のよきように点て、
炭は湯の沸くように置き、
花は野にあるように、
さて、夏は涼しく冬は温かに
刻限は早めに、
降らずとも傘の用意、
相客に心せよ。
「夏は涼しく冬は温かに」。
茶道ではお茶を点てる時に使う湯は、炭に火をおこして釜で沸かします。
11月からの冬の時季は、畳の下に備え付けられている小さな囲炉裏のような「炉(ろ)」を用い、湯を沸かします。
こうすることで火とお客様の距離も近くなり、茶室も暖かくなります。
また、5月からの夏の時季にはお客様に火から少し距離をおいて座っていただくため、「風炉(ふろ)」を用います。
ちなみに…千利休によって侘茶が完成されるまでは、季節に関係なく風炉を使うのが一般的だったそう。
こうして季節によって炉を使いわけることで、お客さまに心地よくお茶を味わっていただけるよう心配りをし、もてなします。
11月は茶の湯のお正月
炉開きを行う11月は「茶の湯のお正月」とも呼ばれています。
また、その年に摘んだ新茶が詰まった茶壺の口を開ける「口切り」も同じ頃に行われます。
よって、11月を「茶の正月」と呼ぶこともあります。