お茶の時間
神無月の喫茶のお菓子「里の恵み」
里の恵みをたっぷりと
風と散歩が、愛おしい季節です。
今月の茜庵喫茶のお菓子は、地元 四国産の大粒栗をたっぷりと使った、 滋味深い季節のきんとん。
9月の十五夜は有名ですが、実は10月にもお月見の機会があります。これが、十三夜。別名 「栗名月」とも呼ばれます。
黒文字を入れると あかあかや、栗の満月。
十月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい
まずは、本席のお軸にご注目。
月下猿鹿の軸。まずもって、円らな鹿の瞳。
ちょこんとのった 猿が指すほうへ 目をむけますと、あかあかとした、月。
収穫の秋を感じさせる、魚籠を花入にあわせましたら、白釉の細水指に 赤楽茶碗・黒中棗と 滋味でまとめます。
七月の立礼席のしつらい
「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。
お茶の世界では、十月は「名残(なごり)の月」と呼ばれます。何をもって名残なのかーこれには諸説があるのですが、今月は菓子にもお道具にも、少し寂びた美しさを留め置くこととしています。
小春日和の雀の姿をうたった細身のお軸に、花入の影。お道具にも、秋の影を留め置いて。
実りの喜びとともに、冬の気配が、少しずつ深くなるー
慈しみの美が ことさらに愛おしい、10月は、そんな季節です。
しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。
関連記事