あかねごよみ

むりせず自分らしい
「和のある暮らし」をさがす旅。

茜庵 お茶席

皐月のお菓子「あやめ艸」と室礼

季節の花、あやめをモチーフに

初夏の茜庵に、ようこそ。
ゆったりと、風が通ります。
茜庵

五月のお菓子の銘は「あやめ艸」。
あやめ艸とは 菖蒲の別名。すっとした立ち姿が、この季ならではの美しさ。
錦玉の瑞々しさ。口当たりに、道明寺のアクセント。
茜庵 お茶席

地元の作家さんにお願いしたガラスの器にとりあわせて、涼やかに。
茜庵 お茶席

五月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい

皐月は [炉]から[風炉]に変わるとき。
お茶の世界でも、今月からは がらりと夏の仕様にかわります。
お茶席 風呂
床の間の軸に描かれた文字は「剛健」。

茜庵 棗 恋の棗
どっしりとした「剛健」のお軸にあわせましたのは、恋の棗。
大阪の住之江海岸に寄る波になぞらえた百人一首の恋のうた
「住之江の岸による 波よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ」 がモチーフです。

自分の好きな人が、最近夢に全然現れなくなった。
人目を気にしなくていい、夜であるのに・・
これはもう、相手が私のことを好きではなくなったのではと 悶々とする 切ない乙女心

茜庵 お茶席 床の間

平安時代の貴族たちにとって、夢には特別の意味がありました
自分の夢に出てこなくなる = 相手の気持ちが離れてしまった、という
なんとも独特の解釈をしていた貴族の乙女たち

香合
いやはや、今聞くと ユニークですが
当時の女性たちは、真剣に悩んでいたのでしょうね
香合は、カニを遊ばせて。

立礼席のしつらい

「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。
茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。

立礼席

お菓子「あやめ艸」とかけて、今月は澤菖蒲のお軸を取りあわせました。
掛け軸

すみのえの浅さは沼のあやめ草
松とかはせるねさし成らん

浅澤沼のあやめ草といえば、見事なものとして愛されてきた住之江(=住吉)の情景のひとつ。
澤菖蒲と松の根が交わっているところが、なんとも縁起がよいことよなあ、と
お題(澤菖蒲)を、歌枕(住吉の松)を引いて詠んでいるように思います。


道具にも どこか水の気配を感じさせて、本席とのコーディネートを遊びます。
・・・・
しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。

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