お茶の時間
睦月の喫茶のお菓子「和らぐ光」
光射すほうへと 祈りをこめて
奈良時代から続く、宮中の伝統行事ー令和六年の歌会始の勅題「和」をもとにお作りした、睦月のお菓子。
令和六年の幕開けは、自然の前に無力さを感じるような出来事が、立て続けにおこりました。
それでもどうか、光射すほうへと 祈りをこめて。
練り切りで仕立てたこちらのお菓子、中のあんは薄墨のこし餡です。
一月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい
今月、ぜひご覧いただきたいのが 本席の正月支度。
凛とした佇まいのなかに、この時期ならではの華やぎを添えて。
歌会始に准えて、宮中歌会の中心として活躍した飛鳥井雅章の筆を据えました。
歌人として名高い雅章公は、書の達人であり、蹴鞠マスター。権大納言のほか、朝廷と幕府の連絡役である武家伝奏(ぶけてんそう)も務めた、稀代のスーパースター。
その功績から、和歌の書式も三行三字の定型とは異にする「三行五字」という、飛鳥井家特有の型が認められています。
いかにも、三行五字。
立礼席のしつらい
七福神の中で 唯一の日本の神様、ゑびす神。
にこにこ笑顔に 釣り竿の姿ー これは「釣して網せず」という教えを表わすもの。実はゑびす神の好物は鯛ではない。海老(!)だそうで、鯛は人々へのご褒美用に、御自ら釣りあげるものなのだとか。優しい。
では、なぜ一匹なのか。これには深い意味がありまして、まず「釣して網せず」ー欲張らずに地道にコツコツ励めよ という教えがひとつ。
それから、誰でもいただけるのではなく、高い目標を持って世のため人のために仕事に励む人だけに、ということが、もう一つ。
欲張らず、地道に正直に。
辰年は ものごとが動く変革の年、とも言われます。光に向かう、一年となりますように。
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しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。
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