お茶の時間
春の兆しを告げる、いちご大福
春の女王、いちご大福
寒の入りし、一年で最も寒い季節がやってきましたが、
春の兆しを感じる「いちご大福」が今年もお目見えしました。
もぎたての苺が求肥のお餅でふっくらと包まれた姿は、まるで純白のわたぼうしをかぶった花嫁さんのよう。
茜庵の春を、愛らしく清楚に飾ってくれます。
茶花の女王、雪の女王、ミステリーの女王…
世界には さまざまなヒロインがおられますが、こと茜庵の春いちばんにおきましては、間違いなく”彼女”が主役。
今ではすっかり「女王」の地位を得て、これを求めに毎年茜庵に足をお運びくださるお客様も多いのですが、実はこの「いちご大福」が茜庵のラインナップに名を連ねるようになったのは、
40年を越す茜庵の歴史の中でも、ここ最近のこと。
「絶対にいちご大福は作らない」
いちご大福が世に生まれたのは、昭和の終わり頃と言われています。
諸説ありますが とある和菓子店が 余っていた大福餅の上にいちごを乗せて食べてみたところ、
とても美味しかったのが誕生のきっかけだとか。
誕生するやいなや、全国に瞬く間にひろがる人気商品となった、いちご大福。
けれども 茜庵の庵主は
「苺はお菓子に使わない」と決めていました。
理由は、試作を重ねても重ねても、けれども、「これだ」という苺に出会えなかったから。
この苺なら、この人ならば大丈夫
そんな頑固な庵主にそう思わせてくれたのが、徳島の苺農家さん。
茜庵が創業30年目にようやく出会った理想のいちご、「さくらんぼいちご」の生産者さんです。
徳島県美馬市。
総面積の8割を山に囲まれた清らかな土地に、苺ハウスがあります。
一歩足を踏み入れて、まず驚くのは、その高さ。子供の背丈ほどの場所に可憐な赤い実が、きらりきらり。
こだわりの苺作りを陰で支えてくれるのは、ミツバチと、天敵昆虫と呼ばれる小さな生き物たち。
ハウスをミツバチにとって快適な温度に保つことで、彼らが受粉をしてくれます。
こうすることで綺麗な形のいちごが出来上がるのだとか。
また、害虫の天敵となる昆虫「天敵昆虫」を土に放ち、被害を抑える農法で栽培しています。
曰く、
「ミツバチも、天敵昆虫も、農薬をとても苦手とする生き物なんですね。
だから、農薬はほとんど使えません。」
そうして作られた「さくらんぼ苺」は酸味の加減がとても良く、とてもジューシー。
「この苺なら、大丈夫、この人たちならば、大丈夫」
こうして、茜庵のいちご大福づくりは始まったのでした
薄墨餡で
さくらんぼ苺の美味しさを生かすため、いちご大福を仕立てるための餡として選んだのが「薄墨餡」。
北海道産小豆の艶やかな皮を一枚一枚、丁寧に取りさって仕上げます。
すっきりと華やかな甘みは、さくらんぼ苺の爽やかな酸味とも抜群の相性。
ほおばるたび、甘く爽やかな口どけをお楽しみいただけます。
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