お茶の時間
師走(12月)のお菓子:こがらし
12月のお菓子の銘「こがらし」
一年の最後を締めくくる、師走のお菓子。
モチーフには 抽象的なものを選びました。
季節の訪れを感じさせる冬の風の姿を、練り切り生地に落とし込んで。
百合根を仕込んだ餡のやわらかさに、抹茶の苦み。
ほうっと息をついて、しみじみと 湯気のごちそう。
十二月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい
なじみの道具屋さんから、聖書の香合が届きました。
クリスマスの妖精たちが描かれた遊びごころあふれる一品は、とろけるような色合いの作家もの。
茶道はキリスト教にもご縁があるもので、実は茜庵の庭の蹲(つくばい)には、キリシタン灯篭がひっそりと。
どっしりと、一微塵のお軸をあわせたコーディーネート。
立礼席のしつらい
「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。
茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。
庵の庭の紅葉が なんとも艶やか。さらりと活けるだけで、季節のごちそうとなりました。
お軸には、寒菊におしどり。
雌雄がいつも一緒にいるところから、仲の良い夫婦の象徴ともされる、この鳥。
今月の庵には ひとつ嬉しいことがありまして、彼女の末長い幸せを願って庵主が選んだのが、このお軸。
瓔珞模様の茶碗は、どこかクリスマスの雰囲気。
瓔珞(ようらく)とは、珠玉や貴金属を編んで頭や首や胸にかける装身具。
もともとインドの上流階級の人々が身につけたもので、これがのちに菩薩像などの身を飾るものとして用いられ、日本でも天蓋の装飾に用いられたのだとか。
なんでも悟りをひらいた段階の仏像にはこの飾りがないのだそうで、
綺麗だなあ、なんて思う私は、まだまだ煩悩の段階。
除夜の鐘まで、あと何日。
慌ただしさの中に 新年を迎えるよろこびが溢れる、ひと月になりますように。
・・・・
しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。
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