お茶の時間
卯月のお菓子「 朝掘り きんとん」と室礼
四月のお菓子の銘 「朝掘りきんとん」
初夏の茜庵に、ようこそ。
小鳥のさえずり、風の音。
瑞々しい季節になりました。
和食の大家といえば、北大路魯山人。
京都から東京まで鮎を電車で運ばせた逸話は有名ですが、その魯山人でさえ、竹の子には旅をさせなかったー必ず産地で食するべしと書き残しています。
竹の子は光に敏感な野菜。光を感じるとかたくなり、あくも強くなる。
また、竹林は早朝までは水分を多く含むため、「朝掘り」こそが、瑞々しくて美味しい。
ほんのりと山椒でスパイスをきかせた、初夏のきんとん。おいしい竹の子の産地でもある、地元徳島の自然さまに感謝した一品です。
四月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい
端午の節句も近くなりました。この季節ならではの息吹と、力強さを意識しながら。
「春山青松水清」 ー鵬雲斎大宗匠の書は、茜庵創業当初にかけた 大切な初心のお軸。
あわせた花は、利休梅。清楚な五弁花は 古くから茶人に愛されて、茶道具にもよく登場いたします。
「風炉先(ふろさき)」の柄も、利休梅でコーディネート。
風炉先は「風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)」ともいい、お点前のときに道具を置く道具畳の向こうに立てる二枚折りの屏風のことです。
耳付花丸草花の水指は華やかさのなかに、どこか愛嬌のある姿。
香合には花喰い鳥をあわせて、あそびます。
立礼席のしつらい
「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。
茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。
節句にむかう新緑の季節。どこかマスキュリンな装いですが ほんのりと柔らかさを加えるのは、お軸の役目。
本席の香合とリンクさせて、こちらも豌豆花に遊ぶ 小鳥たち。
鯛釣り草が のんびりと、風にそよぎます。
ところで 桜の季語は、もちろん「春」ーですが葉桜になると 「夏」の意にかわるのだと、最近師に教わりました。
めぐる季節を愛おしみながら、ほうっと 一服。
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しつらいとは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、しつらいの遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。
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